六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーで開催中の「ハリー・ポッター展」が会期を2週間延長し、9月29日(日)まで開催することになった。
既に25万以上の来場者が訪れている人気の催しであり、PRONWEB編集部では7月に体験レポートを掲載しているが、別の編集部員が先日体験してきたので、改めて最新の混雑具合などをレポートしたい(ネタバレなのでご注意を)。
訪れたのは9月に入ったばかりの平日、20時頃。会場の外には「10分待ち」の表示がある。当日券を購入し進むと、まずはホグワーツ入学記念に写真撮影をしてくれるエリアが待っている。写真は有料で購入可能だ。
そしてエレベーターで一気に52Fへ。広い美術館をずんずん歩き、実にスムーズに本展の入口に辿り着いたが、道すがら目にした多数のパーテーションスタンドから、混雑時はかなりの行列を覚悟しなければならないことが見て取れた。
入口ではわずか5分程度の待機で中へ。10人ほどのグループが1組になり中へ入るシステムだ。1人が扉を3回ノックするように係員に促され、扉が開くと組み分け帽子の待つ部屋が待っている。ここは以前のレポートにもあるので割愛。続いて映画の名シーンがランダムに流れる部屋へ。作品に想いを馳せつつ、これからどんな演出が待っているのか、期待が高まる時間だ。
そしてカーテンが開くと、目の前に飛び込んでくるのはホグワーツ特急だ。各メディアで取り上げられネタバレしているにも関わらず、スモークの向こうにぼんやりと現れたそれを実際に目にすると、静かなる感動と興奮がこみ上げてくる。ファンにはたまらない演出だ。
その後、動く「太ったレディーの肖像画」などを見ながら、展示スペースへ。テーマごとに展示された数々の衣装や小道具を楽しむエリアだ。
まず始めはグリフィーンドール寮。ハリーとロンのベッド、制服に私服、生徒の伝言が貼られた掲示板、杖に忍びの地図と、楽しげな雰囲気が伝わってくる。先生方のコーナーも充実しており、スネイプ先生のエリアには煮立つ魔法薬や薬品が置かれ、また意地悪なアンブリッジ先生のピンクの部屋は猫皿などと共に再現されており、ハリーが罰としてやらされた「I must not tell lies」の書き取りも見ることができる。
個人的にお気に入りであるのが、ルーピン先生の「闇の魔術に対する防衛術」の授業なのだが、ここで登場する「びっくり箱」と「ボガートの洋箪笥」の大きさに目を奪われ、まるで生徒のような気分でしばし見上げてしまった。箪笥からはガタガタと音がする仕掛けもあり、童心に帰ったようにワクワク。女装したスネイプ先生が出て来たらと想像するとさらに楽しめるだろう。
マンドレイクを引っこ抜くことができる体験エリアでは、皆がおずおずとトライする様子が面白い。いの一番に引き抜いた誰かのマンドレイクの悲鳴に皆で驚き、その場に一体感が生まれる。
映画を語る上で欠かせない「クィディッチ」のコーナーでは、各選手の衣装や道具の展示に加え、クアッフルをゴールに投げ入れるミニゲームコーナーも。映画と同様にゴール音が鳴る仕組みなので、これまたテンションが上がるのだ。
心優しき大男、ハグリッドの小屋も再現されており、衣装からはリアルに彼の大きさを知ることができる。また、バックビークのロボット(展示では動かないが)も見事なものだ。今にも羽ばたきそうな、いやむしろ羽ばたく演出も欲しかった!と思わざるを得ないほどである。
不死鳥のフォークス、屋敷しもべ妖精のドビーにクリーチャー、ナギニ、ハンガリー・ホーンテール、ケンタウロスなどの生き物も登場。バックビークと同様にフォークスも真っ赤な羽根が素晴らしくよくできておりそのうち涙を流すのではないかと期待してしまったが、CGでの出演がメインとなるしもべ妖精などは思ったより精巧ではなかったのが正直なところ。ちなみに、「賢者の石」や「蘇りの石」など、石類も意外と地味な作りであった。
その他、タイムターナーや、秘密の日記を始めとする分霊箱、ケイティ・ベルが手にした呪いのネックレス、トレローニー先生の水晶やカップなど、印象深いアイテムがてんこ盛りなので、いちいち感動しよう。ルーナが配る「ザ・クィブラー」を目にした時には、お宝を見つけたような気分になった。
楽しさいっぱいのエリアがある一方で、この作品の核である闇の魔法使いにまつわる展示エリアも。風に吹かれて漂う不気味なディメンターや、墓地にあった死の天使の像、ヴォルデモート卿の衣装、デスイーターの仮面に、ベラトリックスの囚人服。一面を覆う不穏な空気は、映画のシーンさながらだ。
また、ビルとフラーの結婚式に参列した時の衣装や、華やかなクリスマス・ダンスパーティーの再現も。個人的には、ロンのひらひらのアレは意外と嫌いではない。
そして何より印象深かったのは、1作目でハリーが着ていた衣装の小ささだ。このシリーズがいかに長きに渡って制作されたのか、そして今なおこうして世界中の多くの人々に愛されているかと思うと、本当に胸がいっぱいになる。
展示だけでこれだけ楽しめるとあれば、来年USJに誕生するテーマパークなどはひっくり返るぐらい面白いに違いないと、過大な期待をせずにはいられない。
なお、より本展を楽しみたいのであれば、音声ガイド(700円・オリジナルストラップ付)を利用しよう。各エリアに展示してある番号を入力すると、関連エピソードを映画スタッフのコメントを交えてガイドしてくれる。DVD特典映像などで既に知っていることもあれば、知らないこともあったので、個人的には利用して良かった。
夏休み明け、週明けの平日、夜の時間帯ということあり、かなりゆったりと楽しむことができ大満足。エリアによっては前後の人とぶつからず、貸切状態になることも。周りに人がいないとその分自分の世界に浸ることができるので、じっくり見たい人は日時を選ぶと良い。
展示を楽しんだ後はグッズショップが待っているが、時間に余裕があれば関連カフェで余韻を楽しもう。同52Fの六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー内のマドラウンジが、現在「魔法使いのカフェ&パブ」に変身中だ。
カフェのテーマは、ダイアゴン横丁と漏れ鍋とのこと。21時過ぎに訪れたのだが、店内は暗めでテーブルにはキャンドルが灯り、大きな窓からは六本木のアーバンな夜景が楽しめる。。
メニューは、「魔女の煮込んだ大鍋カレー」「魔法使いのパーティプレート」「ブリティッシュトライフル」など田舎風の英国料理がラインナップされており、必ずしも映画の中に出てきたメニューではないが、雰囲気を楽しむには十分だ。
ハリー・ポッターの中で最も食べてみたいメニューと言えば、なんといってもバタービール! これがないのはいささか残念だが、生クリームを泡に見立てたキャラメルシロップ入りのジンジャーエール「KIDSビール」があるので、これをバタービールと思って楽しむのも良いだろう。
ちなみに「スコットランド地方伝統のシェパーズパイ」は、量が少な目ではあるがマッシュポテトの舌触りが滑らかで美味しかった。原作では「シェパードパイ」はホグワーツの夕食にも登場しており、店員さんによれば人気メニューとのこと。
行きそびれていたファンや、この夏のテレビ放送でファンになった人達(できればシリーズ全部見てから行って欲しい)には、ぜひ機会を作って訪れることをオススメする。夏の混雑時に訪れたけれどもう1度ゆっくり見たいというファンは、可能であれば平日の夜にぜひ再訪を!
ハリー・ポッター展
http://www.harrypotterexhibition.jp/
マドラウンジ
http://ma-do.jp/