80年代を過ごした人で『北斗の拳』を知らない人はいないだろう。
『北斗の拳』といえば、1983年より「週刊少年ジャンプ」で連載開始以来、爆発的な人気を博し、少年から青年男子まで虜にした伝説的漫画だ。その後、アニメ化されるやそのブームはもはや社会現象。30周年を迎え、なお不動の人気を誇る漫画『北斗の拳』は80年代、いや漫画史に残る名作といえよう。
連載当時、ノストラダムスが世界の滅亡を予言したとされる1999年まであと十数年という頃。多くの人々がまことしやかに語られるハルマゲドンに不安を感じていた。また映画でも世紀末や近未来を舞台にした『マッドマックス』や『ターミネーター』などが次々と公開され、近い未来は素晴らしいものではなく、世界は核戦争によって滅びるというものばかりだった。
『北斗の拳』は、まさしくそうした最悪の世紀末の世界を舞台にした漫画である。そこに現れた世紀末救世主・北斗神拳の伝承者ケンシロウが、乱世にのさばる悪党ども圧倒的な力で成敗し、正しき者たちを助ける。それはまさに時代劇や西部劇、任侠映画に通ずる痛快さであり、これが面白くないわけがない。
物語では、主人公のケンシロウ以外にもケンシロウに味方する朋友、ケンシロウと戦う強敵(とも)など魅力的な漢たちが数多く登場する。『北斗の拳』の魅力はストーリーやアクションはもちろん、そうした漢たち、キャラクターにあったといえる。『北斗の拳大解剖』はそんな魅力を徹底解剖しようという一冊であり、保存版にしたいファン垂涎の一冊だ。
内容はケンシロウ、ラオウ、トキの北斗三兄弟はもとより、物語を彩る漢たちやその命を賭けた死闘など、魅力の数々が紹介され見どころ満載。またケンシロウとラオウの最終決戦「闘気を撃つ!の巻」の原画をそのまま複写し掲載、貴重な生原稿の迫力を楽しむことが出来る。
その他、『うる星やつら』『犬夜叉』の高橋留美子先生や『ろくでなしブルース』『ROOKIES(ルーキーズ)』の森田まさのり先生、『ゴッドサイダー』の巻来功士先生のスペシャルインタビューはどれも必見。さらに『北斗の拳』のスピンオフで大人気、『北斗の拳 イチゴ味』の行徒妹先生、『DD北斗の拳』のカジオ先生のコメント、迫力満点の豪華カラーイラスト、ラオウが選ぶ最強ランキングなど、充実した内容となっている。
『北斗の拳大解剖』は三栄書房から、オールカラーで907円(税抜)、2014年7月25日(金)発売予定。