261種類の食虫植物を収録したハンドブックが発売中

141120_futaba_01「ハエトリソウ」や「ウツボカズラ」、そして「モウセンゴケ」など、昆虫や動物プランクトンを捕らえて養分とする食虫植物。植物でありながら動き回る虫を捉えるというエキゾチックな特性や独特の形状から、ゲームに登場するモンスターのモデルにも採用される事も多く、実際に見た事が無くても存在を身近に感じている人も多いのでは?

食虫植物の最大の魅力は、何と言っても独自の進化を遂げた捕虫器官だ。サメの口に例えられる形状の罠や、口を開けて獲物を狙う壺状の落とし穴は虫を捕まえるという目的に特化したフォルムを有しており、捕食者だけが持つ独特な雰囲気を醸し出す。園芸に興味が無い人でも、見ているだけで特別な感情を覚えるだろう。
この個性豊かな食虫植物をカラー写真で261種類も収録しているのが、双葉社から発売中の『ネペンテスとその仲間たち 食虫植物ハンドブック』だ。

食虫植物にそんなに種類があるの? と、驚く読者もいるかもしれないが、食虫植物は熱帯雨林のジャングルだけでなく、高山や寒冷地、水中など、世界中の色々な場所に生息している。国内にも「モウセンゴケ」や「ムラサキミミカキグサ」といった全国に分布する種類や、栃木県や群馬県の一部に生息する「コウシンソウ」や、湖や沼に生育する「フサタヌキモ」といった固有種(いずれも絶滅危惧種)が知られている。

本書の主役は、食虫植物のアイコン的存在ネペンテス(ウツボカズラ)の仲間たちだ。ちなみにウツボカズラという名は魚の“ウツボ”とは関係なく、捕虫器官が上古時代に矢を入れて携行した武具の一種「靫(うつぼ)」に形が似ているからである。

掲載されているネペンテスの画像を見ると、捕虫器官が細長いフォルムからコロッと丸いフォルムまでバリエーションに富み、色も鮮やかなグリーンや怪しい赤紫色と変化があって見ているだけでも面白い。人気の植物だけに愛好家や研究者による品種改良も進んでいて、本書でも野生種には無い魅力を持った栽培品種が紹介されている。この1冊でディープな世界を垣間見ることが出来るのだ。

著者は兵庫県立フラワーセンター技師であり、食虫植物栽培家として知られる土居寛文さん。土居さんが勤めるフラワーセンターには日本初の食虫植物専用温室が常設されており、国内屈指のコレクションを誇っている。
本書の掲載画像には、育てやすさや日当たりに関する情報を示すアイコンが表記されている。知識や技術により結果が大きく左右される前提ではあるが、意外にも育てやすいとされる種類が多い事に驚くかもしれない。巻末には食虫植物の基本的な栽培法も紹介されているので、その姿に魅せられた人は栽培にチャレンジしては如何だろうか。

かつてない情報量が魅力的な双葉社『ネペンテスとその仲間たち 食虫植物ハンドブック』の価格は1800円(税別)。現在は全国の書店ほか、Amazon等で発売中。

ネペンテスとその仲間たち 食虫植物ハンドブック(双葉社)
http://urx.nu/dYu5
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