手塚治虫の代表作といえば「ブラック・ジャック」と、若い人なら答えるかもしれないが、手塚治虫を世に知らしめた作品はなんといっても「鉄腕アトム」である。
アトムは最初、1951年に『少年』で連載が開始された作品「アトム大使」のキャラクターのひとりとして登場した。しかし、未来の人間型ロボットは子どもたちの心をつかみ、翌年には主人公に昇格しタイトルを変更。それが「鉄腕アトム」のはじまりだった。
「鉄腕アトム」は漫画としての人気はもちろん、さらに初の国産アニメシリーズとしてテレビで放映されたことで、一躍日本中で愛される作品となった。アトムは日本の漫画史においても、アニメ史においてもパイオニア的なキャラクターなのである。
今回、三栄書房から発売された『甦る!鉄腕アトム』はそんなアトムの歴史を知るための貴重な一冊といえる。
収録されている作品を一部紹介すると、「アトム大使」のアトム初登場回、「鉄腕アトム」最終回〈火星からかえってきた男〉、連載終了後に描いた「鉄腕アトム」の名作〈シルバータワー〉、続編として描かれた「アトム今昔物語」でのアトム誕生回、テレビ版「鉄腕アトム」の続きを描いた〈アトム還る〉、衝撃的なアトムの最後を描いた〈アトムの最後〉など、アトムの誕生や最後にまつわる作品を中心に収録されている。
また、異色の作品としてはネコ版アトムの「アトムキャット」の1話など、一般には知られていないような作品も収録されているので見逃せない。
表紙のキャッチコピーに“「鉄腕アトム」を知らずして、漫画は語れない!”と記されている通り、漫画史を知る上でも読んでみる価値ある一冊。三栄書房の手塚治虫セレクション『甦る!鉄腕アトム』は価格537円(税別)、1月19日より全国のコンビニエンスストアで発売中。