2015年度は約52%と、25年前の2倍以上になっている大学進学率。少子化をはじめ、ネームバリューで大学を選ぶ傾向が目立つ中、“何を学びたいか”は大学を選ぶ際の大きなキーワードという事は譲れない条件だろう。
めまぐるしい変化をとげている渋谷にキャンパスのある國學院大學は、日本について学ぶ事に重点をおいている事でも知られている。
そんな國學院大學が昨年から開催している「SHIBUYA INTELLIGENCE LIVE」の2回目が3月9日から11日まで、渋谷ヒカリエの8/COURTで行われた。
本年度のテーマは「失敗」。「失敗」とは何か?「失敗」から得られるものは?同大学の教授や助教授、さまざまなジャンルで活躍する渋谷とゆかりの深いメンバーが各々の専門分野「歴史×IT」「経済×宗教」「政治×こども」をキーワードとし、テーマ「失敗」について語り、その後、トークセッションを行う事で新しい「発見」を得ようというものだ。
今回のスタートを切ったのは、同大学の准教授 矢部 健太郎氏。先行は歴史学ということもあり、「戦国エリートの思考回路」といったテーマで「失敗」について語った。
矢部氏曰く、「失敗」という言葉は1870年頃「西国立志編」で初めてといわれており、矢部氏が専門とする戦国の時代には「おちど」という言葉が使われていたそうだ。
「おちど」と聞くと、誰もが「落ち度」という漢字を頭に浮かべると思われるが、当時の書物では「越度」という漢字が使われていたそうだ。
漢字が持つ意味を考えると「度」を「越」した故に起こってしまった事であり、決して怠慢が招いたものではなく挑戦したが、自分のキャパシティを越えてしまった結果という、ポジティブな意味を持ったものであったという。
2人目のプレゼンター、ログリー株式会社 代表取締役 吉永浩和氏からは、ITベンチャー企業を興し、経営していく中で「今思えば失敗だった事」を幾つか語り、その上で「周囲の指摘に耳を傾けることで、気づくことができた」と語った。
また、「とかく失敗が許されない日本では、失敗がマイナスなイメージとなってしまうが、部下の失敗をバネに次のステップへ持っていくのがリーダーの役目ではないだろうか」と経営者ならではの言葉を残した。
その終、シブヤ経済新聞編集長、西樹氏がモデレータとして登場、ゲストの同大学 田原裕子教授も加わり壇上では4人が「失敗」の捉え方について熱く討論を交わした。
2時間という時間ではあったが、あっという間に終わり、「失敗」について新たな気づきを得た参加者は、一緒に参加した知人らと、感想を語りながら会場を後にしていた。
すでにイベントは終わってしまっているが、期間中のプレゼンテーションについては、後日、特設サイトsmart新書 by 國學院大學に掲載されるとのこと。「失敗」をネガティブなものに取りがちな人は、チェックして、自分なりの「失敗」の基準に思いをはせてみてはいかがだろうか。
國學院大學特設サイト
http://kokugakuin-univ.jp/