藤子不二雄Aといえば、『忍者ハットリくん』『怪物くん』『まんが道』『プロゴルファー猿』『笑ゥせぇるすまん』など、数々の名作を生み出しているヒットメーカーである。
「魔太郎がくる!!」は、そんな藤子不二雄Aが1972年から1975年にかけて発表した代表作のひとつ。1972年といえば、あさま山荘事件を境に革命が終焉をむかえた時代。そして沖縄返還、日本列島改造論、また日本が好景気をむかえた時代である。
その一方で受験戦争、校内暴力、いじめ問題など、子どもたちに受難の時代が訪れる矢先の時代でもあった。そんな時代を先取る形で描かれたのが、この「魔太郎がくる!!」なのだ。
主人公は、友愛学園中等部に転校してきた浦見魔太郎。魔太郎は見た目も性格もパッとせず、いかにもひ弱で根暗な少年で、毎回様々な人物からイジメを受けることになる。
しかし魔太郎はサタンとの契約によって超能力「うらみ念法」の持ち主となっていた。どうしても許せない行き過ぎたイジメや悪行に対しては、この超能力やオカルトアイテムを使って復讐を行うのだ。「こ・の・う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か」という台詞とともに、魔太郎は悪人たちに天罰をくだしていく。
この作品は、当時、藤子不二雄Aが「いじめられっ子が実はすごく強くて、やられた相手に大逆襲するような作品なら面白いだろう」と思いついてはじまったものだという。
陰湿ないじめには相応の報いを!まさに「魔太郎がくる!!」は時代が生んだ、勧善懲悪、因果応報、痛快無比のエンターテインメントコミックなのである。
三栄書房の藤子不二雄Aセレクション『魔太郎がくる!! 怒りの章』は480ページのボリュームで価格537円(税別)、3月25日より全国のコンビニエンスストアで発売中。
魔太郎がくる!!
http://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=8923
※Aの表記は○の中にA