国債や定期預金の超低金利が続いている中、不動産投資に着目する人が増えている。とはいえ、「投資用のマンションを買いませんか?」という執拗な勧誘電話を受けたことがある身からすると、そんなうまい話があるわけないと身構えてしまうも事実。
確かに、ひと昔前は一攫千金のようなイメージもあったかもしれない。しかし最近は、「数年後の会社が不安」「子供が思いがけずもう1人できてしまったから」などといったリアルな動機から始め、副業ではなく「複業」として不動産投資を並列させるサラリーマン投資家が増えているようだ。
そんな不動産市況が盛況の今、2500人以上のサラリーマン大家さんと接してきた税理士が「本当に儲かる物件は何か?」を解説した指南書『不動産投資専門税理士が明かす 金持ち大家さんが買う物件買わない物件』(著・稲垣浩之/刊・双葉社/税別1300円)が注目を浴びている。Amazonの「不動産カテゴリー」ではベストセラー1位をキープ中だ(3月6日現在)。
本書は、サラリーマン大家さんの傾向、「金持ち大家さん」が買う物件買わない物件、不動産業者との付き合い方、銀行のホンネ、上手な税金との付き合い方といった5項目から成りたつ。
著者の顧客であるサラリーマン大家さん(204人)の属性や、この2年間で新たに購入した物件データのグラフ化や、5人の金持ち大家さんの実例、マイナス金利のいま銀行が考えていること、知って得する節税の方法など、不動産投資専門税理士だからこそ伝えられるリアルな情報が見どころだ。
うまい話ばかり載っている不動産投資本とは異なり、本書には耳の痛い話も載っている。不動産投資の魔力に取りつかれて失敗するケースなども多々見てきた著者だが、そんな時はぜひ「不動産投資を始めた動機」を思い出して欲しいと語る。
「金持ち大家さん」になるために必要なのは、トリッキーな裏ワザやマル秘テクニックでもない。努力と時間をかけて不動産投資を行い、目的を忘れずにしっかり儲けて欲しい、そんな著者の思いが込められている。
不動産投資なんて年収がよっぽど高くないと無理だと考えがちだが、年収400万円(45歳)でも年間200万円の家賃収入を得られる事例からは、自分にもできるのではないかと夢を与えてくれる。これから物件を持とうと考えている人はもちろんのこと、既にサラリーマン大家さんになっている人にも参考になる情報が詰まった1冊だ。
不動産投資専門税理士が明かす 金持ち大家さんが買う物件 買わない物件
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-31203-4.html