高さ10mもの火柱が立ち昇る豪快な手筒花火 豊橋「炎の祭典」が3年ぶりに開催された

火の粉を浴びながらの放揚

新型コロナウイルス感染症の影響で、一昨年は無観客、昨年は中止となった三河伝統の手筒花火「第27回 炎の祭典~霜月炎の舞~」が11月に豊橋球場で3年ぶりに開催された。
花火の歴史は古く戦国時代にまで遡るという。愛知県豊橋市の吉田神社に保存されている記録「三河国古老伝」によれば1558年に、この地から花火が始まったと記載されており、日本で初めて花火を見た人は、諸説のある中で一番有力とされているのが、徳川家康公が1613年8月にイギリス国王の使者が持参した木の筒に火薬を詰めた花火「立ち花火」を駿府城で見たということだ。

現在では、吉田神社をはじめ豊橋周辺地域の神社の氏子らによって五穀豊穣や無病息災、家運隆盛などを祈る地域の奉納行事として引き継がれている。

今回は、豊橋球場で3年ぶりに開催されるというと言う事で、全国から2日間で約1800人もの観光客が豊橋に集まった。
手筒花火を奉納する神社の氏子達の揚げ手「手筒花火を腕に抱えた自作の筒から花火を上げる人」によって直径15センチ、長さ1メールの手筒花火から高さ10メートルにも及ぶ手筒花火を約60本、2日間で約120本を放揚した。
日本全国から集まった観客も久しぶりに行われる手筒花火が始まる前から会場が緊張感に包まれた。

手筒花火の醍醐味であるハネの瞬間(大筒)

開会の挨拶では、 浅井由崇(あさい よしたか)豊橋市長が、「3年ぶりに豊橋球場で開催される第27回炎の祭典は、この地域で約450年程前、徳川幕府成立の頃に、特別に火薬製造の許可が与えられた伝統ある手筒花火として続いています。 三河伝統手筒花火連合会の皆さんが、しっかりと、この伝統を守ってきており、今日も素晴らしい手筒花火を上げてくれる事でしょう。 初めてご覧になる方はこの迫力ある火柱と、最後の衝撃音によって度肝を抜かれると思います。                                                  是非今日は最後まで、この手筒花火を楽しんでいただき、その後は豊橋の美味しい食事を楽しんでもらいたいと思います」。と言う挨拶で締めくくった。

さらに、佐藤元英(もとひで)大会会長は歓迎の挨拶として、『ここ豊橋では、幕末の民衆騒動である「ええじゃないか」騒動が始まった場所であり、我々、豊橋の人間は祭りや、大きな行事の前には必ず「ええじゃないか」の掛け声を上げて始めます。 今日も、みなさんご一緒に「ええじゃないか」の掛け声を上げて手筒花火を始めましょう』。

「三河伝統手筒花火は  ええじゃないか~」の掛け声と共に 手筒花火が始まった。会場には手筒花火の勇猛な打ち姿をカメラに納めようと多くの観光客やカメラマン達が、一斉にシャッターを切っていた。

一斉の手筒花火放揚にスマホを向ける観客達

その中で、豊橋市内にある豊橋南高等学校 写真部の生徒さんが手筒の果敢な姿を撮ろうと
カメラを構えていた。
この時、海外の雑誌の取材に来ていたプロカメラマン 立木寛彦氏(日本旅行写真家協会 会長代行、JPS会員)が隣りにいた生徒さんに手筒花火の撮り方のワンポイント アドバイスを行ったという。

この写真部の生徒さんを引率していた顧問の石田桂子教論は、
「撮影当日は本校創立50周年記念式典があり、式典に出席された本校の同窓会長やOB・OGの方が炎の祭典と関わりを持っており、急遽、撮影のお話をいただきました。
そして手筒花火撮影の話に即座に立候補した生徒2名と共に会場に向かいました。
生徒達には、撮影では、自分から積極的に声をかけて、写真を自分のものにするように話しをしており、学校の代表としてふさわしい態度をとるように指導しました。
生徒達は、手筒花火の撮影の時に、偶然隣にいたプロカメラマンの立木先生から、撮影指導いただいたことを、眼をキラキラさせて話してくれました。
これまでも、自分なりに工夫しながら撮影に取り組んできた生徒たちですので、先生にご助言いただいた経験は宝物になると思います。今後が楽しみです。」
と語ってくれました。

愛知県立豊橋南高等学校 写真部  柴﨑皓斗さん(左) 田中晴馬さん(右) 

【愛知県立豊橋南高等学校 写真部 生徒コメント】
柴﨑皓斗(しばざき ひろと)さん 1年生
「手筒花火では最後に ハネ があり、それを写真に収めると良いと立木先生にアドバイスをいただきました。そしてハネに合わせてシャッターを切ると凄く迫力のある写真が撮れました。
また、何人かが一緒に手筒を上げる時は引き気味に撮影するといいよ、と先生がおっしゃってくださいました。本当にありがとうございました。」

田中晴馬(たなか はるま)さん 1年生
「今まで手筒花火を何度か見てきましたが、撮影するのは初めてでした。最初はなかなか綺麗に撮れず、手持ちで撮るのでブレないようにISO感度を上げてたら若干画像が粗くなってしまいましたが、調整を行ったので良く撮れたと思います」。隣で撮影していた立木先生からは、いくつかアドバイスを受け、「事前にピントを合わせて固定しておくといいと言われ、その通りにしたら、突然の打ち上げ花火にも即座に対応することができました。」

柴﨑皓斗さんの作品1  
柴﨑皓斗さんの作品2
田中晴馬さんの作品1  
田中晴馬さんの作品2

撮影終了後、「立木カメラマンは、生徒さん達へのアドバイスをしたところ、今までの写真とは全く違う写真が撮れましたと喜んでいたと」言っていたので、どのように指導したのかを尋ねたところ、
「生徒さん達は手筒花火の撮影はあまり経験がない様でした。三脚も無く、手持ちで撮るようだったので、これでは全部手ぶれになってしまうだろうから、ISO感度上げましょうと言ってカメラの設定を変えてもらいました。また、ピント合わせは 何処を狙うかで常に変わるから、ある程度ピントを決めておとくと言う方法があることを教えると、すぐ対応して結果を残していました。生徒さん達は、1枚1枚どう撮ったかを確認していたようで、結構良い写真が撮れていたようでした。彼らは素直で、すぐ実行に移した事で、素晴らしい結果に結びついたのだと思います」。

手筒花火の撮影は、難しそうだが、火の粉を止めて撮るのか、線の様に流して撮るのかを
明確にしておけば、後はカメラの設定とタイミングだけなのでわりと簡単に撮れると言う。しかし線の様に流して撮るには、やはり三脚を使用した方がよいだろう。

豊橋の手筒花火は、神事の奉納と言う事もあり春頃から必ずどこかの神社境内で行われている。炎の祭典の様な、大きな花火は年に数回行われているので、是非とも勇猛な姿を見に行ってみよう。
豊橋だけではなく、関東でも行っているので下記のURLを参考にして近くの会場へ行ってみてはどうだろうか?
出かける前には、公式HJPを確認してから行くこと。

Photo&Report @JTPA Takashi Ohtsuka

◆第27回 炎の祭典~霜月炎の舞~」(2022年度)
開催日時:2022年11月19日(土)・20日(日) 両日とも会場16:00 開演17:00 終演18:30
会場:豊橋公園内豊橋球場特設会場
内容:手筒花火、乱玉、台物 他
交通:JR・名鉄豊橋駅から路面電車(「豊橋公園前」電停下車)
観覧チケット制
豊橋商工会議所 炎の祭典 https://www.toyohashi-cci.or.jp/event/honoo.php
※2023年も開催予定だが、来年下記HPを参照にすること。

【関東で行われている手筒花火】
群馬県 館林手筒花火大会
https://www.gunlabo.net/event/event.shtml?id=914

千葉県佐倉市民花火大会
http://www.sakurajc.or.jp/archives/category/tedsutsu

栃木県芳賀郡益子町観光協会
http://www.mashiko-kankou.org/

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