これから本格的な紅葉シーズンを迎える古都京都。全国から多くの観光客が訪れる季節に先駆け、11月7日と8日の2日間、京都府総合見本市会館(京都パルスプラザ)で「京都ものづくりフェア2015」が開催された。
この「京都ものづくりフェア2015」は、主催者曰く「伝統産業や衣食住関連から先端産業まで、京都のものづくり産業とその優れた技術・技能を紹介し、実演や体験等を通じてものづくりへの関心を高めるとともに、府民の暮らしを支えるものづくりの大切さをアピールすることにより、京都府産業の振興と技能尊気運の醸成を図る」ことを目的としたイベントで、今回で35回目の開催となる。
その切り口こそ“産業展” ではあるのだが、中身は決して専門的なものではなく、一般の方がわかりやすく、且つ楽しく京都の産業を体験・理解してもらうように構成されているのが特徴だ。実際に99の出展団体のうち49のブースにおいて、様々な職業体験ができるアトラクション要素満載の展示や実演、体験、即売で楽しめるイベントとなっている。
例えば、京都の伝統産業として思い浮かぶ京焼や清水焼のブースでは、焼物体験やろくろ回し、絵付実演が実施されている。ろくろ回しは泥遊びよろしく、子供たちが楽しそうにチャレンジしていたのも印象的だ。
また、京都下鴨神社の印璽社(いんじしゃ)は印鑑を祀る神社として知られ、京都は印章の中心地として発展してきたが、今回のイベントでは京印章を作る印判師(京都印章技能士会)もブースを出展。実際に印章を作成する篆刻(てんこく)体験は、毎年人気の体験イベントなのだそう。
この他にも「若手そば職人による手打ちそば」実演や、日本料理の伝統儀式で無形文化財の「四條流式包丁」等も披露されていた。
11月7日と8日の2日間は京都だけではなく、岐阜県「ぎふ技能体験フェア」、兵庫県「技能グランプリ&フェスタ2015」、山口県「ものづくりフェスタ2015」がそれぞれ開催され、主催団体によれば京都同様に多くの来場者で賑わっていたそうだ。
筆者も「京都ものづくりフェア2015」の取材後、短時間ではあるが京都周辺を散策したのだが、店頭に並ぶ伝統工芸品もいつもと違って見え、いつもより京都に詳しくなったような気分を楽しむ事ができた。
流行客目線でもこれだけ意識が変わるのだから、京都や近県にお住まいの方ならば、更に感じる部分が多くなるのではないだろうか。個人的な感想では、地元エリアの幅広い層にこそ参加して欲しいと感じたイベントであった。
ものづくりイベントは、11月中旬以降も福島や群馬、静岡、大阪、和歌山、岡山、香川、佐賀、長崎、鹿児島でも開催される。観光目線で参加しても楽しいのはもちろん、地元の良さを知る絶好の機会だけに、ぜひ今後の開催スケジュールを確認していただきたい。